2020.04.27 2020年度の授業(オンライン授業)開始に向けて
2020/04/27
新入生・在学生の皆様
保証人(保護者)の皆様
神戸学院大学 学長 佐藤 雅美
はじめに
国から「緊急事態宣言」が発令されて2週間余りが経ちましたが、新型コロナウイルス感染拡大は収まる気配がないままに経過しています。そのような中、本学の2020年度の授業開始まで2週間ほどになりました。すでにお知らせしていますように、今年度の授業は5月11日よりオンライン授業で開始されます。コロナ感染の状況が劇的に改善されない限り、前期の授業はすべてオンラインでの実施になる可能性が高いと思われます。
新入生・在学生の皆さんは、長期間キャンパスに足を踏み入れることができない状況が続き、自宅での待機を余儀なくされ、大変不安な時間を過ごしておられることと思います。また、保証人(保護者)の皆様、ご家族の皆様も、大学での学びや活動がスタートしない状況にご心配されていることと推察いたします。本学教職員にとりましても、毎年この時期には、ポートアイランドキャンパス、有瀬キャンパスともに、新入生を迎えて最も活気にあふれた雰囲気に満ちているだけに、現在の閑散としたキャンパスを見ることは、大変寂しく、残念な思いでいっぱいです。
厳しい状況を乗り越えるために
本学は、多くの犠牲者を出した1995年の阪神・淡路大震災の発生時から、震源地に最も近い総合大学として、辛い、苦しい経験から多くのことを学び、「地域と繫がる大学」として発展してきました。震災当時は有瀬キャンパスに文理5学部を構える大学でしたが、現在では神戸市内の複数のキャンパスに文理10学部を展開し、学生数が1万1000人を超える神戸市内で最大規模の私立総合大学に発展いたしました。その重要な要因は、本学教職員とこの間に在籍した学生の皆さんが一体となって、地域貢献や社会連携活動に大きなエネルギーを注いできたことにあると思います。
それから25年目の節目にあたる本年、全く異なるタイプの「災害」に見舞われています。これは、日本全国、そして世界全体を巻き込んだ未曽有の災害であり、すべての高等教育機関の危機でもあります。本学において、学生の皆さんの安全を守りながら、教育機能を止めることなく、この難局を乗り越えるためには、教職員の献身的な努力とともに、学生の皆さんの厳しい環境にあっても学びを進めたいという主体的・積極的な姿勢の協働が必要です。
新入生の皆さんにとっては、想像していた大学生活のスタートとは大きく異なるかもしれません。在学生の皆さんは、これまで積み重ねてきた学生生活が崩されてしまったような気持ちかもしれません。しかし、このこれまで誰も経験したことのない厳しい状況の中での学びや学生生活を新しいチャレンジとしてとらえて、知恵と工夫で乗り切っていきましょう。本学教職員にとってもこの難局に立ち向かうことは、初めてのチャレンジです。大学にとっても、学生の皆さんにとっても、このような経験は必ず将来に生きてくるはずです。そう信じて前に進みましょう。
オンライン授業について
5月11日にスタートするオンライン授業は、欧米ではかなり普及しているところもありますが、日本の大学教育としてはまだまだ一般的ではない変則的な授業の形になります。学生の皆さんには自宅で受講していただくこととなりますが、この学びが実りあるものになるように、教職員が一体となって皆さんをサポートしていく所存です。学生の皆さんも積極的な姿勢で授業に臨み、オンライン上でも活気のある学びにしていきましょう。
*なお、オンライン授業に必要な環境は、カメラ付きPC、タブレットまたはスマートフォン(可能ならばPCが望ましい)に加えて、Wi-Fi環境あるいは月間30GB以上のデータ利用環境が望ましいと考えられます。
オンライン授業は、①ZOOMを利用したリアルタイムの遠隔授業と、②dotCampusなどのeラーニング・システム(なお、現代社会学部はManaba、グローバル・コミュニケーション学部はGCSquare)やOffice365のOneDriveを活用して教材(映像、スライド、レジュメ、資料など)を提供し、それをもとに質疑応答や課題の提示と提出をオンラインで行うオンデマンド方式の授業があります。科目によっては、①と②を組み合わせて実施されることがあります。オンライン授業を受講する前提としては、必ず学内情報サービスにアクセスし、大学のアカウントでのメール・チェックをお願いいたします。
*まもなく学生の皆さんにもZOOMを利用できる環境が整いますので、改めてお知らせいたします。
学生の皆さんは、シラバス(授業計画)で指定された予習をして授業に臨み、理解できないことは質問し、難しいと感じるときは勉強の仕方を担当教員に聞いてみてください。また、自分の意見を積極的に発言、記述してみましょう。このようなやり取りの連続が学びの質を高めることになります。
オンライン授業のサポートについては、教学担当の春藤副学長をキャップとして、全学教育推進機構、教務センター、情報支援センターの3部門が協働でプロジェクトチームを組んでいます。このプロジェクトチームからの情報にも今後は注意してください。
なお、既に実施している「インターネット環境調査」を通じて、オンライン授業の受講環境を整備することに苦心されている皆さんが多数いることがわかっています。これに対する支援策については、後に述べますが、本日決定いたしました。
授業開始に向けて
授業開始までの2週間、オンライン授業の受講環境の準備、受講する科目の履修登録、履修する科目の教科書の注文、到着した教科書の確認など、準備することは多いのではないかと思います。
それと並行して、新入生の皆さんには神戸学院大学の一員としての「帰属意識」を持っていただくために、すでに大学ホームページにも公開されている『大学生活入門2020』に目を通し、同じく大学ホームページの「大学紹介」の中の「神戸学院大学憲章」の内容を確認するとともに、初代学長・森茂樹先生、そして学校法人神戸学院の創始者である校祖・森わさ先生(森茂樹先生の母)について伝記風に描いた「森茂樹物語」をぜひ読んでみてください。きっと、新しい神戸学院大学のイメージが膨らむと思います。
2年次生以上の在学生の皆さんも、この機会にぜひ「神戸学院大学憲章」「森茂樹物語」を一読してみてください。そして、止まっていた学びを再開するためにも、それぞれの専門分野の基本に立ち返って復習し、これから履修する科目の予習を少しでも進めてください。また、ゼミや研究室の先生方、同期のメンバー、課外活動やサークルのメンバーと連絡を取って、オンライン授業の開始に向けて、情報交換・情報共有してください。
ところで、神戸学院大学の建学の精神は「真理愛好・個性尊重」です。この精神・フィロソフィーは、本学での大学生活だけでなく、これからの21世紀社会にも重要な意味を持つと思います。ぜひ、皆さんがこれからの大学生活の中で、この「真理愛好・個性尊重」をどのように理解し、実践していくか、考えを巡らせてみてください。
繰り返しになりますが、現在の難局を、学生の皆さんと教職員が一緒になって、協力しながら学びを前に進めて乗り切っていきたいと思います。そして、近い将来、大学での学びや活動が正常に戻った時には、「オール神戸学院」としての大きな絆が生まれていることを期待したいと思います。半世紀以上の歴史を持つ本学のマザーキャンパスである有瀬キャンパスと、美しさでは全国トップクラスのポートアイランドキャンパスで、新入生・在学生の皆さんと笑顔で会える日を楽しみにしています。
最後に
本学ではこの度の新型コロナウイルス感染拡大による影響を考慮して、学費の納入期限の6月末への延長、学費分納制度の申し込み期限の延長などの措置をとってきました。また、上にも述べましたが、2020年度前期の授業がオンラインの形で開始せざるを得なくなったことにより、学生の皆さんにも受講準備についてご負担をいただいています。これに対して少しでもサポートできるように、別途ご案内していますように、「オンライン授業の実施に伴う特別奨学金(給付)」を設け、本学のすべての学生・大学院生に一律5万円の支給を行うことといたしました。
さらに、新型コロナ感染拡大によって家計が激変した学生の皆様への緊急支援策についても現在検討しており、具体的な内容が決定されましたらお知らせいたします。
神戸学院大学といたしましては、オンライン授業の開始に備えて、遠隔授業に必要なソフトとその全学生・全教員の利用ライセンスの取得や、eラーニング・システムの補強に努めており、また、このような中でも学びの質を維持するために、オンライン授業の準備に全力で取り組んでいます。また、大学の施設・設備につきましては、残念ながら現在のところは活用していただけない状況ですが、前年度から今年度の開始に向けて整備・充実を図ってきており、今年度も新たに充実に向けての取り組みを実行する予定です。今後いつ正常な形で大学の学びや活動が戻っても、良好な学びの環境を提供できるように、施設・設備の維持・管理・充実に努めてまいります。何卒ご理解いただきますよう、心よりお願いいたします。