2017.02.27 【掲載:角田准教授、井上助手】The Journal of Biological Chemistry誌
薬学部・生体機能制御学研究室 井上雅己助手、角田慎一准教授らの研究論文がThe Journal of Biological Chemistry誌(on line)に掲載されました。
タイトル: A trimeric structural fusion of an antagonistic tumor necrosis factor-α mutant enhances molecular stability and enables facile modification.
著者: Inoue M, Ando D, Kamada H, Taki S, Niiyama M, Mukai Y, Tadokoro T, Maenaka K, Nakayama T, Kado Y, Inoue T, Tsutsumi Y, Tsunoda S.
当該研究室では、免疫応答制御の中心を担うサイトカインTNF-αの2種類の受容体サブタイプ(TNFR1/TNFR2)が、それぞれ異なった生理機能に関わるシグナルを伝達することに着目し、両レセプターの機能と病態との連関解析や、それらシグナルを標的とした創薬研究に取り組んでいます。
TNF-α受容体のサブタイプ選択的なシグナル制御は、既存薬よりも有効性・安全性に優れた免疫疾患治療薬や、新規がん免疫治療薬の開発につながると考えています。
今回の論文では、タンパク質工学的手法により、機能を改変し、安定性や血中半減期を向上させるための最適化を施した新規TNF変異体(TNFR1選択的な阻害活性を発揮する人工タンパク質)を創製し、その物理化学的・薬物動態学的特性を解析することにより、最適化手法としての有用性を明らかにしました。
本手法は新たなバイオ医薬品の開発に資するものと期待されます。
なお本研究は、国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所、大阪大学大学院薬学研究科、同工学研究科、北海道大学薬学研究院との共同研究の成果に基づくものです。