2024.07.23 【開催報告】第28回大学-医療連携講演会
薬学部が「第28回大学-医療連携講演会-Pharmacist Scientist が拓く薬物治療の未来-」を6月7日、ポートアイランド第1キャンパスで対面とオンラインでのハイブリッド方式により開催しました。
薬学部の医療連携実行委員会では、神戸医療センター中央市民病院を中心とした近隣の医療機関との教育・研究の連携を図る活動の一つとして、2013年から定期的に本講演会を開催してきました。今回は杉岡信幸教授がオーガナイザーを務め、「がん薬物療法適正化とがん患者に必要な栄養療法」のテーマで一般講演、特別講演を合わせて3人の講師を招き、議論を深めました。
■一般講演①「共通ツールを用いた医看薬薬連携」
初めに神戸市立医療センター中央市民病院薬剤部の吉野新太郎主査が一般講演「共通ルールを用いた医看薬薬連携」で、医師、看護師、病院および薬局薬剤師の連携の重要性について語りました。吉野主査は、がん薬物療法に精通し、本学における5年次生薬剤学特論Ⅰ(医師・薬剤師と本学学生による公開討論)に例年講師として協力してもらっています。病院内のみならず、外部保険薬局薬剤師との連携について、大変興味深い内容でした。
■一般講演②「がん薬物療法適正化に向けた予後予測因子やリスク因子の検討-栄養評価指標を中心に-」
次に、本学薬学部臨床薬学教育研究部門の辰見明俊講師が「がん薬物療法適正化に向けた予後予測因子やリスク因子の検討-栄養評価指標を中心に-」と題して一般講演しました。学術的な立場から、がん患者において、栄養・免疫学的指標が、抗がん剤治療の有効性や予後に対しての予測因子となりうるとして、多くの臨床研究報告を紹介しながら話しました。辰見講師は、がん薬物治療における最前線での臨床研究に携わっており、薬剤師が臨床研究に関わる重要性・有用性について深く考えさせられる内容でした。
■特別講演「適切な臨床栄養の施行に貢献する病院薬剤師」
最後に埼玉県の上尾中央総合病院栄養サポートセンター長で消化器外科・腫瘍内科診療顧問の大村健二医師の特別講演「適切な臨床栄養の施行に貢献する病院薬剤師」がありました。適切な栄養管理が臨床上いかに重要であるかについて、実際の臨床例、科学的知見を踏まえ、大変わかりやすい解説でした。大村顧問はがん治療と臨床栄養において多くの業績がある著名な医師です。また、臨床での栄養管理において、チーム医療の中での薬剤師の貢献に関して高い評価と、今後の期待を込めた温かいメッセージを頂きました。
■学生は薬剤師として働くやりがい見出せた
本講演会には薬剤師を中心とする県内の医療関係者、本学教職員や学生などオンラインを含めて約200人の参加があり、盛会でした。薬学部の学生にとっては、卒業後に薬剤師として仕事をしていく上での大きなやりがいを見出すことができ、大変有意義な会となりました。