2024.06.18 【講演:卒業生 横田氏】第7回男女共同参画サイエンスフォーラム
2017年に本学薬学部を卒業し、現在は米国で薬剤師として働く横田麻衣さんが6月13日、薬学部2年次生対象科目「コミュニケーション」の受講生を対象にポートアイランド第1キャンパスで講演を行いました。司会及びコーディネーターは、担当教員である薬学部の中川左理教授が担当し、講演会の最後には受講生との質疑応答の時間も設けられるなど、多様な働き方について学生の理解を深めることができました。講演は第7回男女共同参画サイエンスフォーラム「アメリカで活躍する薬剤師」としても位置づけました。
■海外研修制度のある本学を受験、卒業後渡米
ロサンゼルス在住で新潟県出身の横田さんは海外に興味があり、海外研修の制度がある大学を希望して本学を受験したといいます。1年次生でアメリカ薬学研修に参加し、米国の薬剤師の仕事ぶりに「これはすごい」と感激。2年次生終了時に休学して1年間、米国カリフォルニア州に語学留学しました。帰国して本学を卒業、薬剤師免許も取得した後、再び渡米して同州のウエスタン健康科学大学を卒業、米国の薬剤師免許も取得して、2022年から現在まで外来クリニックで臨床薬剤師として働いています。
学生生活や就職活動において、「自分は何をすれば幸せになれるか」「どんな人間になりたいか」「こんな人生でいいか」と今から考えることが必要だというアドバイスもありました。
■米国の薬剤師の職域はさまざま
横田さんは米国の薬剤師の職域は広いとして、「薬局・ドラッグストア」「病院」「外来クリニック」「製薬会社」「保険会社」などに分類しました。それぞれの職域で働く薬剤師に自らインタビューして仕事の内容や魅力と難点、働き方のスケジュールなどを紹介してくれました。
外来クリニック臨床薬剤師については自身のケースを例に挙げました。医師との同意書に基づき、医師から依頼を受けた慢性疾患患者の治療に携わっています。治療には薬物治療と、非薬物治療(食事や運動)があり、糖尿病などの患者を1日平均14人程度診るが、医師との大きな違いの一つとして診断は行わないとのことでした。
日本の薬剤師と違うのは、米国では薬の調剤をするのは主として「薬剤師テクニシャン」と呼ばれる人たちで、薬剤師は薬の監査など、より対人業務に時間を費やせることだといいます。
■外来クリニック臨床薬剤師の魅力
外来クリニック臨床薬剤師の魅力は「患者と直接話し、生活の中に隠れている問題点を一緒に探し解決する」ことや、「患者の状態によって薬の変更を任されている」ことを挙げました。一方、難点としては「患者の生活習慣を変えてもらうことは難しい」ことや「薬の処方権があるため責任が大きく、訴訟になることもある」ことなどを挙げました。
また、薬剤師のコミュニケーションで大事なこととしては、相手が理解しやすい言葉を選ぶこと、話しやすい環境・雰囲気を作ること、自分の意見を伝えつつ、相手の意見も尊重すること、コミュニケーションは文化や国によって違うと理解することを挙げました。理解しやすい言葉の選択では、英語で「高血圧」は医療用語の「hypertension」ではなく、一般的な「high blood pressure」を使うようにしているとのことでした。糖尿病患者と薬剤師とのやりとりを同席した夫と即興で演じる場面もあり、大きな拍手がわきました。
■「今からさまざまな経験・挑戦をしよう」
最後にまとめとして横田さんは、薬剤師の働き方はたくさんあり、米国では薬剤師の職種が細分化されていることや、米国の薬剤師でできて日本でできないことは少ないと述べました。今からさまざまな経験・挑戦をして自分と将来について考えようと呼びかけ、締めくくりました。