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臨床薬学教育研究部門

薬物治療のプロフェッショナルとして医療に貢献することを目指して、「高度な薬学知識」と「高いコミュニケーション能力」および「高い問題解決能力」を備えた薬剤師の育成を行います。

The Faculty of Pharmaceutical Sciences

医療力の高い薬剤師の育成とは

部門長

写真:部門長
中川左理

臨床の現場では、薬剤師は薬物治療の専門家として結果を出すことが求められます。医療の進歩とともに治療がめまぐるしく変化する時代、薬物治療のガイドラインも年々更新され、最新の薬物治療を学び続けることが必要です。また、さまざまな患者さんに対応する薬剤師はジェネラリストでなければなりませんが、その上で、医療がこれだけ専門化していく現代にあっては、薬物治療のスペシャリストとして、特定の領域や疾患についての専門性を高めていかなければ積極的に薬物治療に関わっていくことはできません。本部門では、緩和医療、精神疾患、栄養療法、がん医療、医療コミュニケーションなど専門性を持った7名の専任の臨床系教員が中心となり特色ある臨床薬学教育プログラムを構築し実践しています。また、各々の専門分野にて、臨床研究についても積極的に進めており、更なる医療への貢献を目指しています。

高校生の皆さんへ

臨床現場の”薬剤師の今“を熟知する私たちが皆さんの薬学部での学びを強力にサポートします。3つの力、「高度な薬学知識」と「高いコミュニケーション能力」および「高い問題解決能力」を備えた医療力の高い薬剤師を目指しませんか!

部門のメンバー

写真:男性3人、女性7人、合計10人のメンバー

中川左理(教授)

専門は、がん・緩和医療・疼痛治療で、患者さんの症状緩和、QOL向上のために、薬剤師としてどうすべきか、薬物治療として何を行うべきか、質の高いエビデンスの確立を目指して、病院にて臨床研究を行っています。また、海外研究員を経て、米国の薬学教育にも精通しています。常に一薬剤師として、よりよい医療を目指すと共に、大学でのプログラムを通じて、薬剤師として活躍する学生さんの未来をサポートいたします。

辻本貴江(准教授)

専門は臨床代謝栄養学です。栄養サポート専門薬剤師の資格を持っています。大学での教育に加えて、栄養サポートチーム(NST)の薬剤師として、週1回大学病院で入院患者さんを回診してます。大学ではアメリカの病院・薬局での経験を活かし薬剤師教育や臨床栄養学教育や国際交流を担っています。病院や薬局などの医療現場で、多職種と協力しながら患者さんのために仕事をする薬剤師、国際的な視野を持った薬剤師を育てていきます。

橋本保彦(准教授)

専門は医療薬学で、特に精神疾患領域における、治療、患者QOL、医療費に関する臨床研究を行っております。また、ガイドラインなど疾患の薬物治療法標準化を目指した系統的レビューの作成も行っております。
大学では、医薬品情報、薬剤師活動最前線、エビデンスに基づいた薬物治療を講義および臨床実習を担当しております。
学生が臨床薬学に興味を持ってもらえるよう教育にあたりたいと考えております。

  • 写真:授業風景

池村 舞(講師)

専門は、医療薬学全般で、基礎研究、臨床研究の経験があります。現在は、基礎・臨床双方から糖尿病やがんを始めとした臨床上の問題の解決に取り組んでいます。臨床現場で研鑽を積みながら、最新情報を得るとともに、薬剤師に必要な能力を見出し、教育・研究に活かしています。臨床現場の問題に目を向け、患者さんの治療に貢献できる薬剤師・研究者の育成をお手伝いできればと考えています。

江角 悟(講師)

専門は医療薬学で、特にリエゾン精神医学に薬剤師としてかかわってきました。リエゾン精神医学とは、身体疾患で入院中の患者さんが何らかの精神心理面の問題を抱えた場合に、精神医療と身体医療をつなぎ、各科の医師、薬剤師、看護師などと連携しながら支援を行う領域です。研究でも、身体疾患×精神疾患を切り口に、精神科薬物療法の適正化に関する研究に取り組んでいます。
大学では主に調剤学を担当し、薬剤師業務を科学的思考でとらえられるように支援していきます。

  • 写真:長机に座っている生徒の横に立って、プロジェクターに写っている資料を説明している様子
  • 写真:3人で薬品を扱っている

上町亜希子(講師)

医療コミュニケーションをテーマに一般市民の方による模擬患者(Simulated Patient:以下SP)とファシリテーター(指導者)養成し、学内や卒後薬剤師のSP参加協力型コミュニケーション教育を実践し、患者の気持ちに寄り添う薬剤師の育成を目指しています。

辰見明俊(講師)

専門は医療薬学で、特に抗がん剤の適正使用に関する研究に携わっています。また、臨床現場での研鑽を積みながら、その最新情報を大学での教育・研究に活かしています。科学的な思考力をもとに臨床現場で活躍できる薬剤師になれるよう、学生の皆さんを支援していきます。

江原里佳(実習助手)

学生時代から「抗がん剤の有効性向上に関する研究」に取り組んでいます。
また、週1回、臨床現場で研鑽を積みながら、薬剤師としてのスキルを磨いています。
まだまだ未熟ではありますが、学生さんの立場に立ってサポートできるよう努めたいと思います。

竹澤 唯(実習助手)

薬局では内科・循環器内科を中心に、様々な疾患の患者さんと関わってきました。また、在宅訪問なども経験し、患者さんへよりよい医療を提供できるよう努めてまいりました。臨床現場での経験を生かして、学生の皆さんをサポートしていきたいと思います。

  • 写真:白衣を着た女性二人が実験をしている様子

原田未穂(実習助手)

学生の時代から臨床に深い関心があり、研究室は緩和医療研究室を選び病院でカルテ調査を行っておりました。また、実習助手に着任してからも少しでも現場に携われればとの想いから薬局での研修を行っております。これらのことを活かして学生のみなさんと一緒に学んでゆきたいと思います。

  • 写真:白衣を着た二人の女性のうち一人が実験を行っていて、もう一人が記録をとっている

組織図

臨床薬学教育研究部門(医療連携研究室、医療コミュニケーション研究室、臨床代謝栄養学研究室、臨床医薬品評価学研究室、緩和医療研究室、こころの健康研究室、実践薬学研究室)。連携している医療薬学領域(臨床薬剤学研究室、臨床薬学研究室、臨床薬物動態学研究室、病態代謝研究室、フィジカル・アセスメント研究室)と、神院大医療連携実行委員会(本学薬学部教員、神戸市立医療センター中央市民病院、神戸市立医療センター西市民病院、市立芦屋病院、神戸中央病院、三重ハートセンター、神戸リハビリテーション病院) 臨床薬学教育研究部門(医療連携研究室、医療コミュニケーション研究室、臨床代謝栄養学研究室、臨床医薬品評価学研究室、緩和医療研究室、こころの健康研究室、実践薬学研究室)。連携している医療薬学領域(臨床薬剤学研究室、臨床薬学研究室、臨床薬物動態学研究室、病態代謝研究室、フィジカル・アセスメント研究室)と、神院大医療連携実行委員会(本学薬学部教員、神戸市立医療センター中央市民病院、神戸市立医療センター西市民病院、市立芦屋病院、神戸中央病院、三重ハートセンター、神戸リハビリテーション病院)

部門内配属の教員はそれぞれ専門研究分野を持ち、学内医療連携実行委員会と連携して、組織図に示すような近隣の病院等と基礎・臨床研究を推進しています。
このような大学と医療現場を橋渡しする活動を通して、臨床現場で必要な科学的思考力、研究マインド、問題解決能力の育成を行っています。

充実した臨床薬学教育システム

部門内には本格的な機能性を備えた各種実習室(無菌、調剤、製剤、疑義照会、服薬指導、処方箋監査)および模擬薬局を設置しています。さらに、ワイヤレス高機能患者シミュレーターを用いたフィジカルアセスメント実習も導入し、臨場感のある臨床準備教育をしています。
臨床準備教育においては、臨床系教員に加えて、医療薬学領域に属する3つの研究室も協力します。この領域には薬剤師のみならず、2名の医師も所属しており、医療現場で求められる実践的な臨床力を身につけることができます。

高い医療力を育成する臨床薬学教育

1年次

  • 医療現場での多職種の役割・連携について学ぶ。「早期体験」
  • 多職種連携の演習

2~3年次

  • 医療現場の薬剤師、医師、看護師、そして薬害患者やがん患者、聴覚障碍者から直接話を聞く。「医療の中の薬学」
  • 患者の気持ちに寄り添うコミュニケーションについて学ぶ。「コミュニケーション」
  • 医薬品の情報の収集、的確な解釈や提供について学ぶ。「医薬品情報」
  • 薬剤師の任務の一つである調剤について学ぶ。「調剤学」

4年次

  • 薬物治療を必要とする典型的な疾患について、薬物治療を成功させるために薬剤師がすべき薬学的管理について学ぶ。「臨床薬学Ⅰ」
  • 薬局・病院実習に先立って、大学内で具体的な症例に対する薬物治療について学び、調剤、コミュニケーションなど薬物治療を実践する上での基本的な能力を修得する。「臨床薬学Ⅱ」「実習Ⅳ」「事前実習」
  • 注射薬調剤の実習

  • 医療面談の実習

  • 人体模型を用いた実習

  • 調剤の実習

5年次

  • 医療現場にて、個々の患者・生活者における薬物治療の実践、多職種連携における薬剤師の貢献、医療マネジメント・医療安全の実践、地域医療・公衆衛生への貢献などについて臨床能力の修得を目指します。「薬局実習」「病院実習」
  • 病院実習

  • 病院での実習修了報告会

  • 最新の医療現場で必要な薬物治療の実践に向け、症例検討などを通じてさらなる臨床能力の向上を目指します。「実践医療薬学演習(緩和医療、エビデンスに基づいた薬物治療、臨床代謝栄養学、アドバンストコミュニケーション、セルフメディケーション、感染症、チーム医療など)」
  • 医療現場や地域での課題を発見し解決することを目指して、卒業研究を実施します。「卒業研究」

6年次

  • 4年次までで習得した薬学的知識と、5年次の薬局・病院実習を通じて身に付けた実務経験を統合し、実際に臨床現場で発生する課題を解決できる能力を身につける。「臨床薬学Ⅲ」

学生Interview

6年生 梶山武佐史 くん(こころの健康研究室:担当教員 橋本保彦)

「睡眠薬における自動車運転事故との関係性」を研究テーマに、様々な論文を調査しています。5回生時に体験した22週間の薬局実習・病院実習で、数多くの患者さんが下剤と睡眠薬を服用していることに気づきました。医師からすると自分の専門分野を診てほしい患者さんが来院します。その後、他にお困りごとがないかを確認し、「お通じがよくない。」「最近なかなか眠れない。」といった話がでると、容易に下剤や睡眠薬を処方するのが現状です。はたして適切なのだろうか。といった疑問があり興味を持って積極的に取り組んでいます。下剤に関しては、実務実習中に調べて発表する機会がありました。睡眠薬に関してはその分野に詳しい先生の研究室で貴重な経験を積むことができています。このほかにも、実際の臨床で大いに役立つ向精神薬に関して深く学べることは、この研究室の魅力だと感じています。また、下級生の実習のお手伝いや指導ができる機会もあり、自分自身も勉強になり、貴重な体験をすることができるため、とても充実しております。